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好奇と平凡社

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silent DJで非密の音楽体験

2022/3/4/木曜日/19:00/完全招待制イベント/valley's club/with silent DJ


SHIBUYA valleyが隔週木曜日に開催している秘密の屋上パーティ、それがvalley's club。


完全招待制のパーティであるvalley's clubには、招待制ゆえに、基本的には、知り合いの知り合い、な人々が集まる。だから、純粋な初対面よりは、少しだけ緊張感の少ない、「はじめまして」が屋上を行き交い、そうして緩やかに、会が始まる。集まった人々は、炬燵で暖をとりながら、シーシャや、自家製のヴィーガンフードを楽しみながら、話をしたり、寝転がったり、ハンモックで遊んだりと、大人たちは子供のように、子供たちは子供のままで、悠々とくつろげる、ナチュラルでタイムレスな空間である。


今回のvalley's clubにも、「はじめまして」だけれど、知り合いの知り合い、である人たちが顔を揃えた。3月4日。梅の蕾はほころびはじめ、日中にはコートの必要も無くなってきつつあるこの季節、2月よりも暖かく感じる日光と、まだまだ冷たい風のギャップに体調は崩しがちな時期ともいえる。渋谷の屋上にあるvalley's clubにも、ときどき寒風が吹くので、皆で炬燵のありがたみを感じながら、ルイボスティやシーシャでリラックスしつつ、簡単な自己紹介だったり、世間話なんかをして、お互いの隙間を少しずつ埋めていく。


ビルの6階に位置する屋上には、街の喧騒は全くと言っていいほど聞こえて来ないので、渋谷に居るということを、つい忘れてしまったりする。なんだか心地よくなって、風の導くまま、建築集団repipeによってSHIBYA valleyに建てられた、単管パイプの二階建てジャングルジムに登ってみれば、発光するTOWER RECORDS.の屋上看板の頭が垣間見えて、ここは渋谷なんだ、と、思い出したような感覚になる。そのまま下を見れば、大都会・渋谷の街らしく、無数の人頭たちの往来。やはり、ここは渋谷である。けれども、SHIBUYAvalleyは、渋谷の中心にあって、忙しない渋谷のイメージからは少し距離を置いた存在なのだと実感する。



屋上に設えられた単管群。レイアウト変更も自在な都会のジャングルジムだ。

屋上からは、TOWER RECORDS.の頭がみえる。


valley's clubには、silent DJという目玉アイテムがあるので、是非ともここで紹介させてほしい。本日のメイントピックである。silent DJは、SHIBUYA valleyが導入したオーディオアイテムであり、簡単に言えば、自家製ラジオキット、のようなものである。缶バッチサイズの受信機を1人ひとつずつ持ち、付属のイヤホンを耳にさすと、マスターから、音楽だったり、マイクを通した音声が聴こえてくる仕組みだ。受信機は、クリップで服に留めることもできるので、電波が届く範囲であれば、イヤホンをしながら自由に移動することもできる。耳だけで緩く繋がる、その場限りのラジオマシーンである。その名前に違わず、騒音のない音響を提供するので、野外活用にも最適なDJアイテムともいえる。


よく、電車なんかでイヤホンをしていて、そこから聴こえてくる面白い話なんかについ吹き出してしまい、周りの目を気にしてしまうことがあるが、silent DJで遊んでいると、皆が同時に、図らずして、つい笑ってしまったりすることがあり、それが、不思議な仲間意識を生んだりする。イヤホンをすることで外音から遮断され、個々人のゆとりやスペースが担保される一方で、silent DJを付けている人には、共通の音楽やトークが聴こえており、皆でそれを緩やかに楽しんでいるという事実が、個々人を孤独にはさせないのだ。



silent DJ。服に付けたまま自由に屋上を散歩もできる。騒音フリーなDJアイテム。

silent DJを付けていない人から見れば、人々が無言でイヤホンをしながら体を動かしたり、笑ったりしている、異様な光景にも映るかもしれない。しかし、その実、silent DJからは音楽や、DJの軽快なフローが絶えず聴こえており、皆が縛られることもなく、個々人の居心地の良いスペースを確保しながら、ひとつの時間を静かに享受しているのだ。その不思議な一体感は、スポーツとも、映画鑑賞ともまた違う、ゆとりのある、穏やかで、しかし進歩的な形をしている。何かと密な状態が避けられる現代で、密=コミュニケーションの充実、という前提とはまた異なる、新たな繋がりの形を、silent DJは感じさせてくれる。


今回のvalley's clubでは、ラッパーのSSAADNがsilent MCを務めてくれて、彼のフリースタイルを楽しみながら、ラップで参加者のsilent 他己紹介タイムが自然に生まれ、さらにそこから自由参加型のsilent サイファーが始まった。賑やかな会話の往来はそこには無く、しかし、皆が各々の居心地の良さを守りながらも、互いの言葉に静かに耳を傾け、共通の話題を楽しむ、そんな時間が流れていた。非密なコミュニケーションを楽しめる、silent DJ。そして、そのsilent DJを楽しめるのは、屋上の秘密基地、SHIBUYA valleyだけかもしれない。



MCを聴きながら、炬燵で温もる。この後、有志がマイクを取り、silentサイファーが始まった。

ライター/ハマモトソウタ


※SHIBUYA valleyにご興味がある方はDMを。ゆるいメンバーが、ゆるくお返事させていただきます。









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